
① はじめに:100円で“化学を味方にする”掃除
気づけば、家の中には「汚れ」がたくさんあります。
キッチンの油膜、冷蔵庫の手あか、浴室の水アカ、トイレの黄ばみ。
どれも一見ただの「汚れ」ですが、科学的に見ると、実はまったく異なる性質を持つ“化合物”の集合体です。
それを、家庭で・手軽に・安全に扱う。
そんな目的のもとにつくられたのが、ダイソーの「落ち落ちV」シリーズ。
わずか100円で買えるのに、汚れの性質に合わせた化学処方を持つこのシリーズは、いまや「暮らしのミクロ実験キット」と言ってもいいほどの完成度を誇ります。
シリーズで読む「落ち落ちV」クリーナー比較
「100円の中に、科学がある」
落ち落ちVシリーズの面白さは、ただの掃除グッズではなく、“酸”と“アルカリ”という化学の原理をそのまま家庭用に応用していること。
- 酸性のクエン酸が、水アカや石けんカスを溶かす。
- アルカリ性のセスキや重曹が、油や皮脂を中和する。
- アルカリ電解水が、界面活性剤を使わず汚れを浮かせる。
それぞれの化学反応が、「拭くだけ」「浸けるだけ」という日常動作の中で自然に起こるように設計されています。
「シリーズでそろえる」という考え方
画像出典:ねとらぼ
おそらく多くの人が、「どれを買えばいいの?」と迷うはずです。
でも、落ち落ちVシリーズの本質は、“1本選ぶ”ではなく“使い分ける”こと。
汚れは酸性・中性・アルカリ性が入り混じっているため、1種類の洗剤ではカバーしきれないのが現実です。
落ち落ちVシリーズは、その現実を踏まえて、「酸性担当」「アルカリ担当」「中間担当」をそろえる構造になっています。
まるで、化学の三原色のように。
- クエン酸 … 酸性汚れを溶かす
- 重曹・セスキ … 酸性汚れを中和する
- アルカリ電解水 … 手あか・日常汚れをリセットする
この3系統が揃うことで、家庭のあらゆる汚れに化学的アプローチが可能になるのです。
「科学をやさしく使う」という哲学
100円という手軽さの裏には、「強すぎない処方」という哲学があります。
家庭用クリーナーの多くは、即効性を重視して刺激を強くしがち。
けれど、落ち落ちVシリーズは“効きすぎないやさしさ”を大切にしています。
だから、
- 赤ちゃんやペットのいる家庭でも安心して使える。
- 手荒れしにくく、香料も控えめ。
- 拭いた後は、ほとんどが水に戻る。
「安全と化学のバランス」を100円で実現している。
それこそが、このシリーズが長く愛される理由です。
本記事の目的
この記事では、シリーズ全4種(重曹・セスキ・アルカリ電解水・クエン酸)を科学・実験・生活実用の3つの視点から徹底的に比較します。
- どんな汚れに、どのタイプが効くのか?
- 組み合わせて使うと、どんな相乗効果があるのか?
- そして、どの順番で使えば“正しい掃除”になるのか?
ただの比較ではなく、「汚れを科学的に見ることで、暮らしが軽くなる」そんな新しい視点を提供します。
次の章では、4種類の基本情報と成分の違いを整理しながら、「それぞれがどんな汚れを得意とするのか」を明らかにしていきます。
② シリーズラインナップと基本構造
「落ち落ちV」は、家庭の汚れを“化学の4タイプ”で分けて考える
落ち落ちVシリーズは、すべての汚れを化学的な性質で整理した構成になっています。
つまり、「どのクリーナーがどんな汚れに効くのか」が明確。
使う前にこの構造を理解しておくと、“なんとなく掃除”が“科学的掃除”に変わります。
4種類の基本ラインナップ
| 種類 | 主成分 | 液性 | 得意な汚れ | 主な用途 | 特徴まとめ |
|---|---|---|---|---|---|
| 重曹+アルカリ 電解水クリーナー |
炭酸水素ナトリウム+電解水 | 弱アルカリ性 | 軽い油汚れ・手あか・皮脂 | 冷蔵庫、食器棚、家電 | 日常掃除の万能タイプ。界面活性剤不使用で肌にもやさしい。 |
| セスキ+アルカリ 電解水クリーナー |
セスキ炭酸ソーダ+電解水 | 中~強アルカリ性 | 皮脂・油・衣類のえりそで | キッチン、換気扇、衣類部分洗い | 酸性汚れに最も強い。シリーズ内“油汚れ担当”。 |
| アルカリ電解水 クリーナー |
電解水100% | 強アルカリ性 | 手あか・軽い油・ペット用品 | 家電・ドアノブ・子ども用品 | 界面活性剤ゼロで安全。無臭・無添加タイプ。 |
| クエン酸クリーナー | クエン酸+水+除菌剤 | 酸性 | 水アカ・石けんカス・尿石 | トイレ、蛇口、シンク | 水回り特化タイプ。アルカリ汚れを溶かす酸の力。 |
4つの「落ち落ちV」は、汚れの性質で選ぶのが正解。
重曹は“日常の軽い汚れ”を、セスキは“しっかりした皮脂・油汚れ”を。
アルカリ電解水は“安全性と汎用性”を、クエン酸は“水回りの白い汚れ”を担当します。
つまりこのシリーズは、「どこを掃除するか」より「どんな汚れを落とすか」で選ぶクリーナーなのです。
成分の方向性で見る「落ち落ちVマップ」
| 軸 | 弱〜強 | 成分・役割 |
|---|---|---|
| アルカリ系
(油汚れ・皮脂) |
重曹 → セスキ → 電解水 | 油・皮脂・手あかを分解しやすい |
| 酸性系
(水アカ・尿石) |
クエン酸 | アルカリ性の汚れを化学的に溶かす |
落ち落ちVシリーズは「アルカリ3兄弟+酸性1姉妹」と覚えるとわかりやすいです。
同じアルカリでも“強さ”が異なり、「油汚れのレベル」によって使い分ける構造になっています。
4つのクリーナーを“機能軸”で比較
| 項目 | 重曹+電解水 | セスキ+電解水 | 電解水(純) | クエン酸 |
|---|---|---|---|---|
| 洗浄力(総合) | ★★★★☆ | ★★★★★ | ★★★☆☆ | ★★★★☆ |
| 得意な汚れ | 軽い油・手あか | 皮脂・酸性油 | 手あか・ほこり | 水アカ・石けんカス |
| 使える素材 | プラスチック・木・布 | 金属以外・布 | 家電・子ども用品 | 水回り・陶器・樹脂 |
| 注意素材 | 光沢面・液晶 | アルミ・銅・真鍮 | アルミ・塗装面 | 大理石・鉄・木材 |
| におい・刺激 | 弱 | ややあり | なし | やや酸味 |
| 安全性
(ペット・子ども) |
高い | 高いが素材注意 | 非常に高い | 中程度(拭き残し注意) |
4種類は“強さ”より“役割”で選ぶと失敗しない。
重曹とセスキはどちらも油汚れに強いアルカリ系ですが、重曹は肌にやさしく、セスキは洗浄力を重視したタイプ。
電解水は「毎日使う拭き掃除」に最適で、クエン酸は水回り専用の酸性担当。
4本を比べると、汚れの強さ・素材の繊細さ・安全性のバランスを取ることが、“正しい使い分け”の鍵だとわかります。
シリーズ全体の位置づけ
もし落ち落ちVシリーズを「家庭の汚れ対策チーム」として見立てるなら、こうなります👇
- 司令塔:アルカリ電解水(純) → 日常の手あか・仕上げ用
- 攻撃型:セスキ+電解水 → 酸性汚れ(皮脂・油)の中核担当
- 補助型:重曹+電解水 → 軽度の汚れ&肌への優しさ
- 守備型:クエン酸 → 水回り・石けんカスのアルカリ除去
つまり、4本揃えば、家中の汚れを「酸とアルカリ」で完全カバーできる構造。
この体系性が、落ち落ちVシリーズが評価される最大の理由です。
次の章では、この「汚れ」と「成分」の関係をより深く掘り下げ、“汚れの化学構造”と“どのタイプが最も反応しやすいか”を可視化していきます。
つまり、「どんな汚れに、なぜ効くのか」を科学で理解する章です。
③ 科学で見る!汚れと洗剤の相関図
「汚れ」を“化学式”で見ると、正しい掃除が見えてくる
家庭にある汚れは、見た目は違ってもその多くが「化学反応の結果」です。
油・皮脂・水アカ・石けんカス・焦げ付き・・・。
それぞれの汚れには酸性・中性・アルカリ性といった“性質”があり、その反対の性質を持つクリーナーを当てることで、化学的に分解・中和されます。
これが、“汚れを落とす”という現象の正体です。
汚れと洗剤の相関関係表
| 汚れの種類 | 性質 | 効くクリーナー | 化学的な反応イメージ |
|---|---|---|---|
| 油汚れ(調理油・皮脂) | 酸性 | アルカリ系(セスキ・重曹・電解水) | 酸とアルカリが中和して脂肪酸塩(石けん状物質)になる |
| 水アカ(カルシウム・
マグネシウム塩) |
アルカリ性 | 酸性(クエン酸) | クエン酸がミネラルをキレート化(溶かす) |
| 手あか・指紋 | 弱酸性 | アルカリ系(電解水・重曹) | 油脂成分を分解・乳化して除去 |
| 石けんカス
(脂肪酸+金属塩) |
アルカリ性 | 酸性(クエン酸) | 酸が金属イオンを奪い、再溶解させる |
| 焦げ付き(炭化物) | 中性〜弱酸性 | セスキ・重曹(限定的) | アルカリで表面を軟化させ、物理的に剥がれやすくする |
| 尿石・黄ばみ
(リン酸カルシウム) |
アルカリ性 | 酸性(クエン酸) | クエン酸がリン酸カルシウムを分解・溶解 |
| カビ・雑菌 | 中性 | 電解水・クエン酸 | pH変化で生育を抑制、除菌補助効果あり |
汚れと洗剤は“正反対の性質”で引き合う。
油汚れにはアルカリ、水アカには酸。
この“反対の組み合わせ”こそが、落とすための化学反応の基本です。
つまり、掃除は力まかせではなく化学の相性ゲーム。
どんな汚れも「性質を見極めて、逆の性質をぶつける」ことでスッと落とせるのです。
化学で理解する「中和」と「分解」
掃除の世界では、「化学的に反応させて汚れを変質・除去する」のが基本原理。
このとき作用するのが大きく分けて2つの反応です。
🧪 ① 中和反応(Neutralization)
酸性汚れ(油・皮脂)にアルカリを当てると、中和が起きて汚れが分解。
油脂が「脂肪酸塩=石けんのような成分」に変わり、水と一緒に流せる状態になります。
つまり、“油を石けんに変えて落とす”という反応です。
💧 ② 溶解反応(Dissolution)
アルカリ性の汚れ(水アカ・石けんカス)に酸を当てると、ミネラル成分(Ca²⁺、Mg²⁺)が酸に反応して溶け出します。
これが、クエン酸が白いうろこ汚れを消す理由です。
“酸”と“アルカリ”のバランスをとると、掃除が変わる
多くの人が「落ちない」と感じる汚れは、実は洗剤の性質と汚れの性質が合っていないだけ。
たとえば、
-
油汚れにクエン酸を使っても落ちない。
-
水アカにセスキを使っても反応しない。
これは、酸とアルカリの“組み合わせミス”。
汚れのpHに反対の性質を当てることが、化学的な掃除の正解です。
「汚れの性質別」おすすめクリーナー早見表
| 汚れタイプ | 推奨クリーナー | コメント |
|---|---|---|
| 皮脂・油汚れ | セスキ+電解水 or 重曹+電解水 | 酸性の油をアルカリで中和。衣類・換気扇に◎ |
| 軽い日常汚れ | アルカリ電解水 | 安全・無臭で毎日の拭き掃除に最適。 |
| 水アカ・石けんカス | クエン酸クリーナー | 酸性の力で白い汚れを化学的に溶解。 |
| 焦げ付き・こびりつき | セスキ+電解水 | 時間を置くと表面を軟化させやすい。 |
| 手あか・ドアノブ汚れ | アルカリ電解水 or 重曹 | 軽い酸性皮脂に効果的。水拭き仕上げ推奨。 |
万能な洗剤は存在しない。けれど、“最適な1本”は見つけられる。
落ち落ちVシリーズの強みは、汚れの性質ごとに化学的な得意分野が分かれていること。
だからこそ、家の中で「皮脂」「水アカ」「焦げ付き」など、汚れを見分ける目を持つだけで、掃除の手間がぐっと減り、結果も見違えるほど変わります。
“汚れのタイプを知る=正しいクリーナーを選ぶ第一歩”なのです。
掃除は「pHのバランスを整える作業」
汚れを落とすとは、「酸とアルカリのバランスを取り戻すこと」。
落ち落ちVシリーズは、その化学的原理を100円という現実的な価格に落とし込んだクリーナー群です。
どれが強い・弱いではなく、汚れの性質に合わせて“化学を使い分ける”ことが、暮らしを軽くするコツ。
次は、「成分別の洗浄メカニズムをやさしく解説」。
それぞれの主成分が、どんな仕組みで汚れを落としているのかを、ミクロの視点から見ていきましょう。
④ 成分別の洗浄メカニズムをやさしく解説
100円で体験できる「化学反応のミクロ世界」へようこそ
落ち落ちVシリーズは、成分がシンプルであるほど“化学の動き”がわかりやすい製品です。
界面活性剤を使わずに汚れを落とすため、それぞれの成分がどんな役割を担っているのかを知ることが、効果的な使い方につながります。
ここでは、シリーズ4種の主成分ごとに、その働きをやさしく紐解いていきましょう。
① 重曹(炭酸水素ナトリウム)
やさしく「油を中和」する弱アルカリの代表
pH:およそ8〜9(弱アルカリ性)
重曹は、料理にも使われるほど安全性の高い“食用レベル”のアルカリ物質。
その秘密は、「中和」と「微粒子研磨」のダブル作用にあります。
🧪 化学的メカニズム
-
酸性の油汚れを中和し、脂肪酸塩(=石けん状)に変化させて除去。
- 粒子がきめ細かいため、こすり洗い時に軽い研磨効果を発揮。
👉 軽い油汚れや日常掃除には、落ち落ちV 重曹+アルカリ電解水クリーナーがぴったりです。
- やさしく、手肌にも安心。
- 日常の軽い油・皮脂・手あか落としに最適。
- ただし、強い油や焦げ付きには力不足です。
② アルカリ電解水
“界面活性剤ゼロ”で汚れを浮かせる水のテクノロジー
pH:およそ12〜13(強アルカリ性)
アルカリ電解水は、水を電気分解して得られる高pHのイオン水。
油や皮脂を“物理的に浮かせて”落とすことができるため、化学的には非常にクリーンな仕組みです。
🧪 化学的メカニズム
-
水中のOH⁻(水酸化イオン)が、油脂の分子結合を切断。
-
油分を微細化(乳化)して、クロスで拭き取れる状態に。
-
除菌効果もあり、清掃後のにおい戻りを抑制。
👉 除菌や手あか掃除中心なら、落ち落ちV アルカリ電解水クリーナー(純タイプ)もおすすめ。
- 洗剤を使いたくない家電・ベビー用品・ペット周りに◎。
- ただし、アルミや塗装面には長時間使わないこと。
③ セスキ炭酸ソーダ
重曹より強く、油・皮脂を「化学的に溶かす」
pH:およそ9.8〜10.2(中〜強アルカリ性)
セスキ炭酸ソーダは、重曹の仲間ですが、より水に溶けやすく、アルカリ度が高いのが特徴。
つまり、「より深い層の油汚れ」に反応しやすいのです。
🧪 化学的メカニズム
-
酸性の油・皮脂を化学的に中和して分解。
-
界面活性剤なしでも、脂肪酸分子を乳化しやすい。
-
襟や袖の皮脂汚れに浸透し、再付着を防ぐ。
👉 皮脂や中程度の油汚れには、落ち落ちV セスキ+アルカリ電解水クリーナーが効果的です。
- 「重曹では落ちにくい油」に最適。
- ただし、強アルカリのため金属・皮革には注意。
④ クエン酸
水アカ・石けんカスを「酸で溶かす」天然由来の酸性クリーナー
pH:およそ2〜3(弱酸性〜中酸性)
クエン酸はレモンや酢にも含まれる有機酸。
水回りの白い汚れ(水アカ・カルシウム塩)を化学的に溶かす働きがあります。
🧪 化学的メカニズム
-
アルカリ性のカルシウムやマグネシウムを“キレート化(結合して溶かす)”。
-
石けんカス(脂肪酸+金属塩)を再溶解して除去。
-
尿石や黄ばみの原因成分(リン酸カルシウム)にも反応。
👉 水アカ・石けんカスの掃除には、落ち落ちV クエン酸クリーナーをチェック。
シンク・蛇口・浴槽・トイレに◎。
ただし、金属や大理石などの酸に弱い素材にはNG。
成分比較でわかる「落ち落ちVの科学的バランス」
| 成分 | 化学的特性 | 得意分野 | 安全性 | 特徴的な使い方 |
|---|---|---|---|---|
| 重曹 | 弱アルカリ/中和+研磨 | 軽い油汚れ | 高い | 家電・日常掃除 |
| セスキ | 中強アルカリ/中和+乳化 | 油・皮脂 | 中〜高 | 衣類・換気扇 |
| アルカリ電解水 | 強アルカリ/乳化+除菌 | 手あか・皮脂 | 非常に高い | 家電・ペット用品 |
| クエン酸 | 酸性/溶解反応 | 水アカ・石けんカス | 中 | トイレ・浴室 |
落ち落ちVシリーズは、“安全性と洗浄力の交差点”にある。
重曹・セスキ・電解水・クエン酸、それぞれが異なる化学特性を持ちながら、家庭で安心して使える範囲に調整されているのがこのシリーズの絶妙なバランス。
つまり、強すぎず・弱すぎない“ちょうどいい化学”が、落ち落ちVの最大の魅力です。
落ち落ちVは「化学反応の分業チーム」
それぞれの成分は単独でも機能しますが、真価を発揮するのは“組み合わせ”です。
油汚れにセスキを、仕上げにクエン酸を使えば、アルカリと酸のダブル反応で見違えるほどの仕上がりに。
つまり落ち落ちVシリーズは、「1本完結型」ではなく、「化学反応をリレーするチームクリーナー」なのです。
次は「⑤ シリーズ別・得意な汚れ&不得意な素材早見表」。
それぞれの強み・弱みを一覧で整理し、素材別に安全に使うコツを紹介します。
⑤ シリーズ別・得意な汚れ&不得意な素材早見表
「どこに使える?」「何に使ってはいけない?」がひと目でわかる
落ち落ちVシリーズを上手に使うコツは、「汚れの種類」と「素材の性質」をセットで考えること。
たとえば、セスキは油に強いけれど金属に弱く、クエン酸は水アカに強いけれど石材に使うと白くなります。
つまり、“汚れ×素材の相性”がすべて。
ここでは、4種類の特徴を整理しながら、「どこに使うと効果的か」「どこに使うと危険か」を見極めましょう。
シリーズ別・得意な汚れ一覧
| シリーズ名 | 得意な汚れ | 主な使用場所 | コメント |
|---|---|---|---|
| 重曹+アルカリ電解水 | 軽い油・手あか・皮脂 | 冷蔵庫・電子レンジ・食器棚 | 日常掃除の万能タイプ。仕上げ拭きでピカピカ。 |
| セスキ+アルカリ電解水 | 中程度の油・皮脂・酸性汚れ | コンロ・換気扇・衣類のえりそで | 油汚れ担当。時間を置くと効果倍増。 |
| アルカリ電解水(純タイプ) | 手あか・ほこり・軽い油 | 家電・車内・ペット用品 | 洗剤フリーの安心仕様。毎日使いに◎。 |
| クエン酸クリーナー | 水アカ・石けんカス・尿石・黄ばみ | シンク・トイレ・浴槽・蛇口まわり | 酸の力で白い汚れを溶かす。水回り専用。 |
4種類は「汚れのステージ」に合わせて使い分けるのがコツ。
重曹は“毎日の軽い汚れ”、セスキは“しっかり落としたい油や皮脂”、電解水は“安全に清潔を保ちたい場所”、そしてクエン酸は“白いこびりつき専用”。
それぞれが家庭の中で役割を分担するクリーナーだから、汚れのレベルを見極めて選ぶだけで、掃除の精度がぐっと上がります。
使用注意!不得意な素材一覧
| シリーズ名 | 使用を避けたい素材・場所 | 理由 |
|---|---|---|
| 重曹+アルカリ電解水 | 液晶画面・ピアノブラック・光沢面 | 微粒子研磨で傷やムラが出ることがある |
| セスキ+アルカリ電解水 | アルミ・真鍮・銅・塗装面 | アルカリによる変色・腐食の恐れ |
| アルカリ電解水
(純タイプ) |
アルミ・塗装面・フローリング(ワックスあり) | 強アルカリでコーティングを傷める可能性 |
| クエン酸クリーナー | 大理石・鉄・木製家具 | 酸が素材を溶かす/サビ・変色の原因になる |
落とす力があるものほど、“使わない勇気”も大切。
アルカリも酸も、汚れを分解する力が強いからこそ、素材への反応も起きやすい。
つまり、「汚れを落とす=素材の成分にも作用している」ということ。
落ち落ちVシリーズは家庭用として安全に調整されていますが、“強い反応を避けたい素材”には、使わないという選択も正解です。
科学で見る「なぜ使ってはいけないのか」
素材に影響が出るのは、化学反応が“過剰に起きる”からです。
- アルカリ性は金属イオンを奪って腐食を起こす。
- 酸性はカルシウムを溶かして艶を失わせる。
- 研磨性の粒子は表面コートを物理的に削る。
つまり、“汚れを落とす力”と“素材を守る力”は常にトレードオフ。
落ち落ちVシリーズはその中間点を狙っており、「目立たない場所で試す」というワンステップが最も重要です。
素材別おすすめ早見表
| 素材 | 向いているクリーナー | 備考 |
|---|---|---|
| プラスチック | 重曹・電解水・セスキ | 安定素材。拭き跡防止に乾拭きを。 |
| ステンレス | セスキ or クエン酸 | 油汚れ→セスキ、水アカ→クエン酸の使い分け。 |
| 布・衣類 | セスキ or 重曹 | 部分洗いに◎。長時間放置は避ける。 |
| ガラス | 電解水 or クエン酸 | 指紋除去・水アカ対策に効果的。 |
| 陶器・タイル | クエン酸 | トイレ・浴室の白い汚れに最適。 |
| 木製家具 | 重曹 | 優しい弱アルカリが安全。水分量は少なめで。 |
| 金属
(アルミ・真鍮・銅) |
❌ 非推奨 | アルカリ・酸どちらも腐食のリスクあり。 |
| 大理石 | ❌ 非推奨 | 酸・アルカリともに表面を溶かす可能性。 |
素材を知ることは、掃除の精度を上げること。
プラスチック・布・ガラス・陶器、それぞれの素材には“反応のクセ”があります。
だからこそ、汚れだけでなく「素材に合う洗浄力」を選ぶことが大切。
落ち落ちVシリーズは、酸とアルカリのバランスでその幅をカバーできるから、素材を見極めて使い分ければ、“落とす”だけでなく“守る”掃除が実現します。
素材を知ると、掃除の自由度が上がる
掃除で“失敗する人”と“うまくいく人”の差は、実は洗剤選びではなく素材理解です。
どんなに強い洗剤でも、素材を傷つけては意味がありません。
落ち落ちVシリーズはその点で、化学反応をやさしくコントロールできる家庭用の最適解。
つまり、「どの汚れに使うか」だけでなく、「どの素材に使えるか」まで意識できた瞬間、あなたの掃除は“実験から実践”へと進化します。
次は「⑥ 成分の強さと安全性のバランスを比較」。
アルカリ度や酸度の違いを数値(pH)で見ながら、家庭で安全に使うための指標を具体的に解説します。
⑥ 成分の強さと安全性のバランスを比較
「pHで見るとわかる、ちょうどいい強さ」
落ち落ちVシリーズのすごいところは、“家庭で安全に扱える最大の洗浄力”を狙っている点にあります。
洗剤の「強さ」は主にpH(ピーエイチ)=酸性・アルカリ性の度合いで表され、その数値が高いほどアルカリ性が強く、低いほど酸性が強くなります。
では、4種類のクリーナーはどの位置にあるのでしょうか?
pHバランスで見る落ち落ちVシリーズの構造
| 製品名 | 成分 | 液性(pH目安) | 安全性 | 洗浄力 | コメント |
|---|---|---|---|---|---|
| クエン酸クリーナー | クエン酸+水+除菌剤 | 約2〜3(酸性) | 中〜高 | 水アカ・石けんカスに強い | 酸性のため金属・石材には注意。 |
| 重曹+アルカリ電解水 | 炭酸水素ナトリウム+電解水 | 約8〜9(弱アルカリ) | 高 | 軽い油・皮脂汚れ | 肌にも優しく、日常掃除に最適。 |
| セスキ+アルカリ電解水 | セスキ炭酸ソーダ+電解水 | 約9.8〜10.5(中強アルカリ) | 中 | 中程度の油・皮脂汚れ | 油汚れ担当。金属は注意。 |
| アルカリ電解水
(純タイプ) |
電解水100% | 約12〜13(強アルカリ) | 高 | 手あか・除菌・軽い油 | 界面活性剤ゼロ。安全だが素材に注意。 |
落ち落ちVは“家庭で扱えるpHの限界点”を攻めたシリーズ。
強力すぎず、弱すぎず、それぞれのpHが“汚れにちょうど効く位置”に設計されています。
つまり、クエン酸は酸の中で安全域、重曹・セスキ・電解水はアルカリの中で実用域。
そのバランスこそ、落ち落ちVシリーズが100円ながら「化学的完成度」が高いと言われる理由です。
pH値と“洗浄力・素材ダメージ”の関係
pHが高い(強アルカリ)ほど油や皮脂は落ちやすくなりますが、その分、素材への刺激や変色リスクが上がります。
逆に、pHが低い(酸性)ほど水アカなどのミネラル汚れには強い反応を示しますが、金属や石材への腐食リスクも高くなります。
つまり、「強さ」は敵ではなく、目的次第。
掃除は“どの汚れにどれくらいのpHを当てるか”という化学のバランスです。
バランスで見る「安全 vs 洗浄力」マップ
| 強さレベル | 対応製品 | 洗浄力 | 素材へのやさしさ | 主な用途 |
|---|---|---|---|---|
| ★☆☆(弱) | 重曹+電解水 | やさしい | 非常に高い | 冷蔵庫、テーブル、子ども用品 |
| ★★☆(中) | セスキ+電解水 | 中〜強 | 普通 | コンロ、換気扇、衣類部分洗い |
| ★★★(強) | 電解水(純タイプ) | 強 | 高 | 家電、ドアノブ、ペットまわり |
| ★★☆(酸) | クエン酸クリーナー | 強(酸性汚れ) | 普通 | 水回り、トイレ、蛇口周辺 |
洗浄力と安全性は“どちらを取るか”ではなく“どう使い分けるか”。
強い洗剤が悪いわけでも、やさしい洗剤が万能なわけでもありません。
大切なのは、掃除の目的に合わせて強さのレベルを選ぶこと。
落ち落ちVシリーズは、そのグラデーションを4段階で整理しているから、「落とす力」と「守るやさしさ」を、家庭の中で自在にコントロールできるのです。
“安全性”を決めるのは、成分だけじゃない
落ち落ちVシリーズの優秀な点は、「濃度」と「中和設計」。
たとえばアルカリ電解水はpH12を超える強アルカリ性ですが、汚れに反応するとpHが自然に低下し、最終的にはほぼ「水」に戻ります。
つまり、使う瞬間はしっかり反応し、拭き取り後は素材に残りにくい。
この自己中和型の特性が、界面活性剤なしでも安全に使える理由なのです。
化学的に見る「安全な使い方の3原則」
- 使う前にテスト拭き
素材のpH耐性を確認。 - 放置しすぎない
反応時間は最長でも5分以内。 - 最後は水拭き&乾拭き
pHを中性に戻して仕上げる。
この3ステップを守るだけで、どのタイプも“安全で効果的”に使えます。
pHを知ると、洗剤の「ちょうどいい強さ」が見える
落ち落ちVシリーズは、強すぎず・弱すぎずの生活に最適化されたpH設計。
つまり、強い汚れにはセスキ・電解水、弱い汚れや子ども周りには重曹、白い汚れにはクエン酸。
pHという視点を知るだけで、「汚れに迷わない」掃除ができるようになります。
次は「⑦ 科学で見る“組み合わせ効果”と使い分け術」。
異なるタイプをどう組み合わせると、より効率よく・素材を傷めずに掃除できるかを、実験的に解説していきます。
⑦ 科学で見る“組み合わせ効果”と使い分け術
「順番を変えるだけで、汚れの落ち方が変わる」
「セスキで落とせなかった汚れが、クエン酸を後に使ったらスッと取れた」
そんな経験はありませんか?
それは偶然ではなく、酸とアルカリの“連携反応”が起きているからです。
落ち落ちVシリーズは単体でも優秀ですが、化学の順番(反応ステップ)を意識して使うことで、効果が大きく変わります。
組み合わせの基本原理:「中和リレー」
酸性汚れにアルカリを使えば中和が起こる。
そのあと酸性クリーナーを使えば、残留アルカリを中和して仕上げになる。
これが、落ち落ちVシリーズの“理想的なリレー構造”です。
| ステップ | 使用クリーナー | 主な反応 | 対応汚れ |
|---|---|---|---|
| ① 下地洗い | 重曹 or セスキ | 油・皮脂を中和・分解 | コンロ、衣類の皮脂、換気扇 |
| ② 仕上げ洗い | クエン酸 | アルカリ残留を中和・水アカ除去 | シンク・浴室・蛇口 |
| ③ 仕上げ拭き | アルカリ電解水(純) | 除菌+拭き取り | 家電・取っ手・ドアノブなど |
「アルカリ → 酸 → 水(電解水)」の順番が“科学的な掃除の黄金比”。
これで、油・水アカ・除菌の3工程がムダなくつながります。
実例で見る「科学リレー掃除」3選
🧴 例①:キッチンのコンロまわり
画像出典:ねとらぼ
- セスキ+電解水
→ 油を浮かせて拭き取る - クエン酸スプレー
→ 白っぽい水アカ・焦げ跡の緩和 - 電解水(純)
→ 仕上げ拭きでツヤを整える
酸とアルカリの“W分解+中和”で、油膜と白汚れを一掃。
🚿 例②:浴室の壁・鏡
- クエン酸
→ 水アカを溶かす(数分放置) - セスキ or 重曹
→ 石けんカスの脂肪酸分を分解 - 電解水
→ 仕上げの除菌・ぬめり防止
酸でミネラルを溶かし、アルカリで脂分を分解、最後に除菌。
🧥 例③:衣類のえり・そで
- セスキ
→ 皮脂汚れを中和 - 重曹
→ 表面の臭いや再付着を防止 - 水ですすぎ
→ 中和仕上げで生地にやさしく
皮脂分解+脱臭の二段構えで“白さが戻る”仕組み。
注意:酸とアルカリを「同時に混ぜない」
組み合わせ効果は“順番”に意味があります。
混ぜると反応が打ち消し合い、効果がゼロになることも。
- 混ぜずに「交互に使う」
- 使う間は必ず水拭きリセットを挟む
- 時間をおいて反応を切り替える
これが、家庭で安全に“化学のリレー”を楽しむコツです。
使い分けの考え方:「汚れの温度と時間」
汚れを落とすには、「温度」「時間」「化学」の3要素が関係します。
| 要素 | 説明 | 実践のコツ |
|---|---|---|
| 温度 | 高温で反応速度が上がる | 40℃程度のぬるま湯で効果UP |
| 時間 | 放置で中和反応が進む | 1〜5分放置後に拭き取り |
| 化学 | 酸・アルカリの選択 | pHの逆性を意識して順番に使う |
つまり、“どのクリーナーを、どの順番で、どれくらい置くか”が結果を決める。
これは掃除というより、もはや家庭の化学実験です。
掃除は「順番をデザインする科学」
落ち落ちVシリーズの真価は、1本で万能なことではなく、複数を“順番に使う”ことで生まれる化学反応の連携効果にあります。
油汚れにはアルカリ→酸でリセット。
水アカには酸→アルカリで仕上げ。
この“化学の順番”を意識するだけで、落ち方も、仕上がりも、手触りも変わります。
掃除とは、汚れを落とす作業ではなく、反応をコントロールする技術。
落ち落ちVシリーズは、その「家庭で使える化学のリレー装置」なのです。
次は「⑧ 家庭で安全に使うための注意点&テクニック」。
化学反応を楽しみながらも、誤用を防ぐための安全設計と、正しい拭き取り・保管・併用のコツをお伝えします。
たった1分のテストで、トラブルの9割は防げます。
この「二度拭き+乾燥」で、ほぼ全てのトラブルを防げます。
⚠️ 原則:「順番で使う」「混ぜない」「時間を空ける」。
電解水が「効かなくなった」と感じる多くは、pH低下による劣化です。
代替のコツは“汚れを化学で見分ける”こと。
どの製品を選ぶかではなく、どんな汚れを落としたいかを基準にすれば、落ち落ちVシリーズがなくても同じレベルの結果を出せます。
科学を知れば、選択肢は無限。
代替品を理解して使い分けることこそ、“家庭化学の応用力”です。
💡 4本とも「目的に応じて最高点を取るバランス型」。
この完成度で全品110円(税込)は、まさに「家庭用洗浄の化学革命」です。
4つの性格を知れば、“掃除の正解”が見えてくる。
落ち落ちVシリーズは、それぞれが異なる“化学の個性”を持ったクリーナー。
どれが優れているかではなく、どの汚れ・どのシーンに強いかを知ることが重要です。
やさしく包み込む重曹、頼れるセスキ、清潔を守る電解水、そして精密に仕上げるクエン酸、この4本を理解して選べば、家中の汚れをロジカルに攻略できる「科学的掃除」が完成します。





